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その音は当然

左手には、小川が縫って流れている田園地帯がもっと近くに見え、イプスウィッチへ行く道が月光に白く光っていた。しかしわたしがこれから行こうと決めた南へ伸びるアーカム街道は、いま立っているところからは見えなかった。
 さて北側のドアは去眼紋、いつ破ったらいいだろうか、またなるべく音を立てずにやるにはどうしたらいいかと、ぐずぐず考えあぐねているうちに、やがて階下のかすかなざわめきは消え、その代わりにまたあらためて重い足どりが聞こえるとともに階段が軋《きし》み始めた。わたしの部屋のドアの上の明り取り窓から、ちらちらゆらめく光が流れこみ、廊下の板は、重たい負担にぎしぎし鳴り始めた。おそらく声だと思われる押し殺したようなもの音がしだいに近づいてきて、ついにはっきりとしたノックの音が部屋のドアの外から聞こえた。
 一瞬、わたしは息を殺し、じっとようすをうかがった。長い時間がすぎたように思われるとともに、吐気を催すようななまぐさい匂いが、不意に、思わずはっとするほど、あたり一面に、高まってくるように思われた。ノックは続けざまに繰り返され、いよいよはげしくなってきた。いまこそ行動を起こし、わたしも北側のドアの錠をはずし、体の重みで押し開ける作業にとりかかるべき時だと肚を決めた。ノックはますます大きくなっreenex膠原自生た。そこでわたしはそのノックの音が、こちらの作業の音を掻《か》き消してくれればいいのだが、と心から祈りながら、ついにその仕事にとりかかって、薄い羽目板《はめいた》とやわな留金を破壊しようと、ショックも痛みもしばし忘れ、再三再四、左の肩を打ち当てた。ドアは思ったよりも頑丈だったが、わたしはへこたれなかった。が、そうしているあいだにも、廊下のドアの外側はしだいに騒がしくなってきた。
 わたしはとうとう北側のドアを押し開けた。が、、廊下にいた連中に聞こえたにちがいなかった。たちまちのうちに、これまでのノックは、ひどい叩きつける音に変わり、やがてわたしの部屋の両隣りにある部屋の廊下に面するドアの錠を開けようとする鍵の音が不気味にひびいた。わたしはいまドアを押し開けたばかりの北側の部屋に飛びこんで、相手側がその部屋の廊下に面するドアを開かないうちに、なか側からうまく留金をおろしてfacial好唔好しまった。だがそうしているうちにも、そのまたもう一つの北隣りの――わたしが窓から向うの建物の屋根に飛び移ろうとしている三番目の部屋の廊下に面するドアに、ガチガチと合鍵を当てている音が聞こえた。
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